こちらのブログでは初のエントリになります。吟遊酒人こと「おくむら」です。
今回は齋藤嘉則さんのビジネスにおける必携本である『問題解決プロフェッショナル』について書かせていただきます。
ゼロベース思考と
仮説思考
「ゼロベース思考」とこの本では言われていたので、目次の段階では話の内容があまり推察できなかったが、端的に言うと「既成」や「成功体験」からの脱却である。
一方で、「仮説思考」はその単語からも推察されるように常にその時点での結論を持ち、ベターな選択を行動に移せというものである。
この両者は今でこそ日常的に言われている考え方であろうと思うが、これを90年代から一貫して述べておられることから、筆者の本質に対する意識を感じ取ることができる。
この2つが冒頭で述べられており、私はどちらかというと後者の方が得意である。
仮説検証のサイクルを実験と称して回すことができる環境は最高に楽しい。
余談になるが、ブドウ栽培からのワイン醸造は人生を賭けても単純化すれば40年、つまり40回しか仮説検証できないことになる。
実際には色々な角度でそういうサイクルを回すことになるので、40回なんてものではないが、こと「栽培」に関してはこれは事実だと思っている。
農業の難しさはそんなところにも潜んでいる。
いずれにせよ、そういったサイクルを行動と共に動かしていくのは性にも合っているし、普段から気をつけている部分である。
一方で、ゼロベース思考というのは、私の辞書には載っていなかった単語だったのもあり、今一度習慣化する必要がある。
既成からの脱却は突き詰めると、価値の根源と変遷を察知すること、そしてその変遷からダイレクトにマーケティングに反映することだと考えられる。
このこと自体に目新しさはないので、重要なことは「ゼロベース思考」という単語と共に価値の客観視のサイクルを回すことにあると思う。
これらの2つの思考法は、今後も都度実践していく必要のあるものだろう。
MECEとロジックツリー
これまた初見なのが“MECE”というワードである。
これは如何なるフレームワークを使うときにも必要になる考え方で、 日本語でいうところの「漏れなくダブりなく」である。
そもそもフレームは常に“FACT”を洗いだすものであり、それ自体に意味はない。
その“FACT”に漏れやダブりがあれば効果的な一手を打つことはおろか、正確な(もちろん正解があるわけではない)現状の分析すらできないことになる。
そのため、このMECEに基づいて行っていく必要があるのがフレームワークということになる。
そしてそのフレームワークの代表が「ロジックツリー」である。
ロジックツリーは改めて説明する必要はないと思う。
下の図はロジックツリーとは少し違うが、私が修論の文献レビューの章組を考えるにあたって作成した一種のツリーである。
本の例に挙げられているもののように綺麗には整理されていないが、ある表層の事象(低生産IBMP)に対して3つのアプローチ(低基質、低IBHP、低VvOMT3)があり、それに人為的な各々の作業がどのような影響を及ぼすかというのをツリー状にしている。
これはFrieve Editorというアプリを使って作成したものだが、Post itなんかでやるのも可動性が高くオススメである。
ただ大枠ができたら、比較的長文の具体的な解決策なども出していくことになるので、Post itでは若干物足りない可能性がある。
なぜ具体的な解決策を強調したかというと、先に述べたように、フレーム自体に意味はないからである。
具体的な施策に落とし込んで初めて意味を成す。
それがフレームワークである。
ソリューションシステム
ソリューションシステムは上記の思考法を使って組み上げる問題解決へのシステマティックなアプローチである。
主要課題はコーザリティ分析による根本原因や、3C分析によって現れたものであることが多い。本書では標準化、ベンチマーク、自社内でのトレンド分析などによってこの主要課題が出てくると述べられている。
その中で個別課題を設定するときに意識すべきはMECEだろう。
個別課題は漏れなく、ダブりなくで設定する必要がある。
そして、その後のプロセスがこのシステムのポイントだ。
個別解決策が実行可能かどうかを自社と他者の状況を鑑みてYES,NOの二択に分類していくのである。
さらにその上で全体として解決可能な課題であると判断されれば総合的な解決策の策定に入る。
その総合的な解決策は企業の理念やリソースなどによっても左右されるので取捨が必要になる。
ここが経営判断の肝ともいえるところだろう。
そしてその判断もファクトに依拠した仮説によるものであるので、その仮説の方向修正も都度怠ってはいけない。
当たり前のことをするのが一番難しい。まさにその典型例がここにあると思う。
まとめ
この本は全体を通してゼロベース思考、仮説思考、ロジックツリーとその他若干の応用的手法を書いている。
章分けもこの記事の順に並んでおり、その折々に、ビジネスに寄った例だけでなく、生活の中で脳内で行われている判断処理(痩せるにはどうするか?)といった例も取り挙げているので、読みやすさもきっちりと持っている。
さらには最終章にそれらのまとめ的な立ち位置のストーリー仕立ての話が盛り込まれている。
なかなか良心的な設計である。
一方で、全くこういう本を読んだことがない人が理解するのには少し時間がかかる部分もあるだろう。
そういう時は細部は読み飛ばして、大枠を理解することに努めるといいと思う。
かくいう私も例示の一部は、あまり実感を持って読み込むことができなかったところもあった。
また個人的な話になるが、以前本の読み方について考えさせられるブログがあった。
そのため今回は初めて本に文字を書き入れながら、専門の参考書を読むように目的ドリブンで読んでいくことにした。
そのためアウトプットするにはどの情報を取捨するか、結局何が言いたいのかといったことにフォーカスして読むことができ、すっきりと要点だけ頭に残っているような状態になったように思うし、そのように記事にもまとめられたと思う。
一方でコーザリティ分析や1つ1つの思考法の詳細、例示までは文章に起こしていないので、そこは実際に手にとって読んでいただければと思う。
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