カテゴリー: 書評

書評『小さな会社の総務・経理の仕事がわかる本』

本とカフェ

長かった。この本はほんとに読むに読めず遅々として進まなかった。

実は今まで書評として残してきた本の一部は、私が来年度から属することになるとある会社の課題図書であり、その多くは実際にその会社の側面を反映したチョイスであると常々感じていた。

それらの本とは打って変わって、一般論と社会の仕組みについてのエッセンスが詰め込まれた本書は、私が個人的に読む本のタイプからもかけ離れており、知らないこと、わからないこと、読んでなお理解できないことのオンパレードであった。

とはいえ、この本は辞書的に用いられることも想定しているような索引もついているので現場に出てからも役に立つことだろうと思う。

総務とは?

この本のメインは総務と経理。

そのうち総務の仕事はいわゆるバックヤード、バックオフィス的な業務を中心としているところらしい。

顧客リストや消耗品の管理、文書の保存や冠婚葬祭での対応など仕事は多岐にわたる。

人事も総務の仕事の一部とされるらしい。

人事に関しては、人事や採用に関する本を読んだこともあったが、それらのハウツー本に近いものは、どのような採用戦略、人事戦略を取っていけばいいのかということは書いてあっても、外国人を雇うことや雇用保険や社会保険に関してはノータッチだった。

それらの保険制度だけでなく、退社時の対応、賞与の算定、時間外労働の基準と給与など、人事の業務も一筋縄ではいかない。

正直このあたりの業務は、読後の今もどのように処理するかを覚えているというよりは、
「そういうものがあるのか。」
ぐらいのものである。

そういう意味でも、逆引きのように索引で戻ることができるのはかなりありがたい。

しかし、もっと厄介なのが経理の部分だ。

経理とは?

経理の仕事の方が総務よりイメージはしやすいように思う。

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書評『鈴木敏文の「統計心理学」』

本とカフェ

鈴木敏文さんはセブンイレブンの父ともいえる方で、独自の経営理論が他の経営者とは一線を画すことで有名だそうだ。

そんな鈴木さんの経営哲学に触れている本書の特徴は何と言っても、金言という形で重要な項目がまとまっていることである。

その金言を見返せば、十分にこの本のエッセンスを見返すことになるだろう。

それらの金言や、本書の内容のなかで特に気になった点を3点挙げてみることにする。

時間軸と客観性

時間軸で物事を捉える。そのときに客観性を持つ。

いずれも特別なことではないのだが、私自身出来ていないと思うことが多く、苦手としていることである。

特に時間軸で物事を捉えるというのは、ある事象の原因と、それがどのように影響を及ぼすかというところまで考えなければならない。

それゆえ表層的なモノの見方では、時間軸を組み込むことができない。

ビジネスに於いては消費動向や、消費者心理に関して特に重要になる考え方のようである。

特に最近、60-70歳ぐらいの先生と言われる方々と話をする機会を頂いているのが、その思考の深さとバックグラウンドの広さにはただただ脱帽である。

常に表層から次表層へ、そして下層まで物事を落とし込みながら理解することで、あらゆる事象を根っこで繋げているのだろうと思う。

理解したつもりほど怖いものはない。

とりあえず過去から現在の流れを理解し、そして未来の予測をトレーニングとして行うために「株」をはじめてはどうかという結論に至った。

客観性に関しては、競馬なんかが思い出される。競馬をやっていたのはかなり前になるのだが、やっていた頃の経験上、どうも人間は自分に都合のいいデータを重視しがちになるということが分かった。


これは個人の問題というより、人間がそういう風に出来ていると思う方が自然である。これは脱経験思考やゼロベース思考などともつながってくるポイントである。

主観的な物事の捉え方は、自身の経験依存であることが多く、さらにはそこから納得しやすい理屈を生み出すこともあるだろう。

そういう意味でも、客観性を常に担保する、自分という存在を俯瞰する存在を自分に持つという鈴木さんの方法はかなり有用なのだろうと思う。

徹底した顧客心理とデータ

鈴木さんは脱経験思考とともに徹底的な顧客思考を唱えている。

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書評『ハゲタカ』真山仁

本とカフェ

ハゲタカ。

一連の池井戸潤さんの小説を思わせる。

昨今でも池井戸さんの小説は半沢直樹、ルーズベルトゲーム、空飛ぶタイヤなど様々なものがドラマ化、映画化されていたが、このハゲタカも作者は違えどドラマ化されている。

それだけ今の日本では逆転劇のようなものの需要があるということなのだろう。

しかし、この本の本質はそういった爽快さだけでなく、読後に思わされることは多岐に渡る。

ハゲタカとバンカー

まず日本のバブルの崩壊後の雰囲気と当時の企業や銀行の杜撰さを感じずにはいられないということである。

私はバブル崩壊後の世代で、失われたままの30年しか知らない。そのため下向きの経済が当たり前、人口減と経済縮小はもはや既定路線としか言えない状況にまで八方塞がりになっていると感じている。

しかし、この本にあるような放漫経営の企業、公私混同した企業が数多く存在するのであればそれも致し方ないことである。

もちろんそれらの企業がこの30年を生き延びれたとは思えないが、少なからず大企業は、それらの損失を下を切ることによって掻い潜り、その時代の幻想から覚めていないところもあろうかと思う。

その最たる例が日本の銀行である。

私は日本の銀行だけでなくフランスの銀行の怠慢業務にも手を焼かされたことがある。

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書評『USJを劇的に変えたたった1つの考え方~成功を引き寄せるマーケティング入門~』

本とカフェ

今回は「マーケティングとはなにか」を優しく導いてくれる森岡毅氏の著書になります。

森岡氏はP&Gでブランドマーケティングを経たのちUSJに参画し、昨今のUSJの基盤を作り上げた方で、日本屈指のマーケターです。

マーケティングとはなにか

この質問を答えるのに自分なりの定義づけができる人は立派なマーケターの方なのだと思います。

マーケティングという言葉だけが急速に広がり、なんとなく重要性も分かるけど、何をしているのかはっきりしない。
会社におけるブランド戦略やPR戦略を主導していそうな花形部署。
私自身もざっくりそんなイメージを持っていただけように思います。

森岡氏曰く、そんなマーケティングの一番簡単な定義は
「トップライン(売上)を伸ばす人。」
「売るのではなく、売れるようにする人。」

売り上げを伸ばすのは別にマーケティングだけの仕事ではないですが、マーケターは消費者目線に立って価値を考え、その根幹にある改善点を洗い出し、改革を進めることによってトップラインを伸ばすのです。
そのための売れる仕組み、仕掛けを作るのがマーケティングです。

つまり全社戦略の方向性を決め、個々人の努力を利益に最大限変換できるような「選択と集中」を行う(本書ではビジネス・ドライバーといい、選択をすることは戦略である)といったことがマーケターの役割になるのです。

USJが従来の映画をベースにしたテーマパークから、「世界最高のエンターテイメントを」といった方向性に舵を切ったのも、消費者目線を徹底したマーケティングによるものなのです。

マーケティング優勢な世界

本書では「マーケティング優勢で技術力を活用する会社」が今後生き残っていくであろうとしています。

それには私も大いに賛成します。
つい先日読んだ記事にもこんなことが書いてありました。

日本の家電産業のほとんどは「役に立つけど意味がない」というところで戦っているから。市場が閉じた状態であれば各国別に10社ぐらいは生き残れたかもわからないですけども、これがグローバル競争になっていくと、世界で一番役に立つ会社の10社しか生き残れない。

山口周/logmiBiz

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書評『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』

社会の「しくみ」とは何か

この本は、「日本社会のしくみ」について、その特徴や歴史を多面的かつ客観的に解説した大衆向けの学術書である。

ここでいう「しくみ」とは何か。

それは、単に法律や制度を指すだけでなく、もっと広い意味で、
“雇用や教育や福祉、政党や地域社会、さらには「生き方」までを規定している「慣習の束」であると著者は定義している。

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書評『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』

こちらのブログでは初のエントリになります。吟遊酒人こと「おくむら」です。

今回は齋藤嘉則さんのビジネスにおける必携本である『問題解決プロフェッショナル』について書かせていただきます。

ゼロベース思考と
仮説思考

「ゼロベース思考」とこの本では言われていたので、目次の段階では話の内容があまり推察できなかったが、端的に言うと既成」や「成功体験」からの脱却である。

一方で、「仮説思考」はその単語からも推察されるように常にその時点での結論を持ち、ベターな選択を行動に移せというものである。


この両者は今でこそ日常的に言われている考え方であろうと思うが、これを90年代から一貫して述べておられることから、筆者の本質に対する意識を感じ取ることができる。

この2つが冒頭で述べられており、私はどちらかというと後者の方が得意である。

仮説検証のサイクルを実験と称して回すことができる環境は最高に楽しい。

余談になるが、ブドウ栽培からのワイン醸造は人生を賭けても単純化すれば40年、つまり40回しか仮説検証できないことになる。
実際には色々な角度でそういうサイクルを回すことになるので、40回なんてものではないが、こと「栽培」に関してはこれは事実だと思っている。
農業の難しさはそんなところにも潜んでいる。

いずれにせよ、そういったサイクルを行動と共に動かしていくのは性にも合っているし、普段から気をつけている部分である。

一方で、ゼロベース思考というのは、私の辞書には載っていなかった単語だったのもあり、今一度習慣化する必要がある。

既成からの脱却は突き詰めると、価値の根源と変遷を察知すること、そしてその変遷からダイレクトにマーケティングに反映することだと考えられる。

このこと自体に目新しさはないので、重要なことは「ゼロベース思考」という単語と共に価値の客観視のサイクルを回すことにあると思う。

これらの2つの思考法は、今後も都度実践していく必要のあるものだろう。

MECEとロジックツリー

これまた初見なのが“MECE”というワードである。
これは如何なるフレームワークを使うときにも必要になる考え方で、 日本語でいうところの「漏れなくダブりなく」である。

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書評『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? ~経営における「アート」と「サイエンス」~』

本書における「美意識」とは、経営における「真・善・美」を判断するための認識のモード、ということになります。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』より

つまりそれは、「論理」に対する「直感」であり、「理性」に対する「感性」であり、「サイエンス」に対する「アート」であります。

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